少し前の2回目の発達検査を受けた日の話。
帰りに家族3人で寄ったファミレスで、長男は久しぶりに穏やかな笑顔を見せてくれた。
その後、私と二人になったときにふと語った「自分の得意」。
その一言に驚きと感心が重なって、改めて彼のよさを見つけた日のこと。
2回目の発達検査へ。家族で迎えた日
2月の初回の発達検査を受けて以来、本人を連れての受診は2回目。
私は3月に結果を聞きに行って以来だった。
今回は、私と夫、そして長男の3人で一緒に行くことに。
小さいころはよく3人で外出していたけれど、最近は弟たちも一緒のことが多く、こんな組み合わせは久しぶりだった。
検査を終えた帰り道、せっかくだからとファミレスへ。
ステーキランチに、サラダバーとドリンクバー。

三人で御飯食べるのすごい久しぶりや。どれにしようかな♪
長男はごきげんで、選ぶドリンクも慎重に楽しそうに迷っていた。
それもそのはず。両親を独り占めできているのがうれしかったんだと思う。
車内のテレビも自由に操作できて、食事も弟たちに急かされることなく、自分のペースで食べられる。
そんな小さな自由の積み重ねが、彼の笑顔につながっていったのかな。
ごきげんなランチのあとに
帰宅後、夫は別の部屋で用事をしていて、私と長男が二人きりになった。
そのとき、彼がふいに話し出した。

僕はテスト(発達検査)を2回受けて思ったんやけど、言葉を言い換えるのが得意よなって前から思ってた。
学校でも、友達に説明したり自分の考えを話したりすると、「わかりやすかった!」って言われる。
だから僕はそういうのが得意やと思ってる
その言葉を聞いて、驚いた。
いつもは弟たちに怒ってばかりで、眉間にしわを寄せている長男。
そんな彼が、穏やかな声で、自分の「得意」を語っていた。
自分の“得意”を知るということ
大人でも、自分の得意なことや、人に喜ばれることが何かを模索している人は多い。
私自身、胸を張って「これが得意!」と言えることなんて、まだない。
それなのに、11歳の彼が自分の強みに気づき、しかもそれを言葉にできたこと。
それがどれほど大きな一歩なのかを思うと、胸が熱くなった。
発達検査は「できる・できない」を数字で見ることが多い。
けれど、この子にとっては“自分を知るきっかけ”になっていたのかもしれない。
自分の特性を、ただの「特徴」ではなく「得意」として受け止められた。
そのことが、私には何よりうれしかった。
担任の先生との電話で感じたこと
ちょうどその日の午後、担任の先生から電話があった。
受診結果を気にかけてくれていたらしく、やさしい声で「どうだった?」と聞いてくれた。
私は、長男が話してくれた“得意”のことをそのまま伝えた。
先生はとても喜んでくれて、

そうだったんですね! 私も最近、授業で説明を頼むときに、すごく上手だなと感じていたんです。
と話してくれた。
先生も、指導の方向に迷うことがあったらしい。
それでも、長男が学校で過ごしやすいと聞いて「よかった」と心から喜んでくれた。
その瞬間、私は改めて思った。
子どもを見てくれている大人が、家庭以外にもいることのありがたさを。
先生の言葉が、私の肩の力をふっと抜いてくれた。
この子なりのペースで見つけていく力
「僕は言葉を言い換えるのが得意」
それは、ただの発言ではなく、彼が自分を理解し始めた証のように思えた。
発達の凸凹があると、苦手な面ばかりに目がいきがち。
でも、その奥にはちゃんと光る部分があって、そこに気づくと、子ども自身も少しずつ自信を取り戻していく。
彼がその光を自分の力で見つけたこと。
そして、その気づきを先生と共有できたこと。
それだけで、この日の出来事は、わたしにとって宝物になった。

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