「男の子なんてそんなもん」
そう言われてきたけど、どこかずっと引っかかっていた。
周りには共感されない“ちょっと育てにくい”毎日。
あの時感じた“なんか違うかも”は、やっぱりサインだった。
◆ 違和感はあった。でも、誰にも言えなかった。
「この子、なんかちょっと違うかも…?」
そう思ったのは、保育園に通う前のこと。
ほんのささいな日常の中で、ふと感じる違和感。
でもそれを誰かに相談することは、当時の私にはできなかった。
「神経質だと思われたらいやだな」
「気のせいなのかもしれないし…」
そんなふうに、自分の感覚をごまかしていた。
◆ 周りの声にかき消される“育てにくさ”
母や義母に相談してみても、返ってくるのはいつも同じような言葉。
- 「男の子なんて、そんなもん」
- 「みんな通る道やって」
- 「神経質になりすぎやで」
- 「うちの息子(=夫)もそうやったよ〜」
- 「昔はみんなそんなもんやった」
- 「長男みたいな子ばっかりやったで」
「そうか…そうなのかな…」と思いつつも、どこかうなずききれない。
心のモヤモヤは残ったままで、共感されない寂しさだけが積もっていった。
◆ 日常の中に散らばっていた“気になること”
● スーパーで寝転ぶ息子
食料品を買いに行くだけで、毎回ヘトヘト。
レジの列を待つのも難しくて、すぐどこかへ行ってしまう。
特に大変だったのは、フードコートの前。
「ごはん食べていく!!」と寝転がり、大の字で動かない。
すでに買い物は済んでるし、冷蔵品もあるのに…。
何を言っても通じなくて、結局おんぶして泣きながら帰ることもあった。
まわりの視線が痛くて、気持ちがどんどん沈んでいった。
● 図書館の本が破られて…
保育園前は、月10冊の絵本を読み聞かせるのが目標だった。
図書館もよく利用していたけれど、破られるたびに謝りに行くのがつらくなって。
破れにくい厚紙の絵本を選び、手の届かないところに置いていたのに、
それでも何度もビリビリにされてしまう。
何度も謝罪して、修理依頼して…。
最後には「もう図書館、行けないな」と思うようになっていた。
● パズルのピースは消え、レギンスは穴だらけ
家のパズルもすぐに破かれて、
決まった場所に片付けられないからピースがどんどん行方不明に。
年中から制服が半ズボンになって、
下に履かせていたヒートテックのレギンスも、
まるで使い捨てかと思うほど、毎回穴があいて返ってくる。
洗濯カゴを見て「またか…」とため息が出る日が続いた。
● コーンフレークがない朝のパニック
朝食に欠かせなかったお気に入りのコーンフレーク。
それを切らしてしまった日。
「おにぎりにしようか?パンあるよ?ホットケーキはどう?」
どれを提案しても、かたくなに首を振る。
だんだん時間がなくなって、私の心にも余裕がなくなって、
つい「もう知らない!好きにしなさい!」と怒ってしまった。
長男は泣きながら、朝ごはんも食べずに保育園へ。
私は自分を責めながら、そのまま車に乗り込んだ。
◆ チャイルドシートに1時間かかる日もあった
朝の登園前、チャイルドシートに乗せるのも毎日がバトル。
ベルトを通してもすぐすり抜ける。
怒って押し込んで、泣かれて、また怒って…。
気づけば「早くして!!」と怒鳴ってばかりの自分がいた。
でも、帰り道は本人のペースでのんびり。
靴を履くのもゆっくり、車に向かうのもふらふら、
ようやく乗ってもベルトを締めさせてくれない。
帰宅までに30分。
ひどいときは1時間以上かかる日もあった。
正直、しんどかった。
早く帰りたかった。
明日も仕事。晩ごはんもお風呂もある。
駐車場で、ただただ待ち続けるこの時間が、果てしなく感じた。
私より後に来た親子が、次々と帰っていく。
急いで迎えに来ても、家に帰るまで時間かかって少し虚しい。
本人の帰る気になるまでまちながら、ぼんやり考えていた。
「なんで、うちの子だけ言うこと聞かないんやろ」
「私、親として威厳ないのかな…舐められてる?」
「でも朝は、大人の都合で保育園に行かせてるしな…」
「他の子は、もっと聞き分けがいいのかな」
夕暮れの車の中で、そんな考えがぐるぐるしていた。
それでも朝みたいに怒るのは違う気がして、
私は静かに、子どものペースに合わせていた。
◆ あのときの「なんか違うかも?」は、やっぱりサインだった
今ならわかる。
あのとき感じていた「なんか違うかも?」という感覚。
それはちゃんとした“サイン”だった。
不注意傾向やこだわり、人に言われたことを行動に移す指示動作の苦手な感じ、
でも誰にもわかってもらえなくて、
わたし自身も「気のせいかな」「私の育て方が悪いのかな」と思い込んでいた。
◆ 同じようなモヤモヤを抱えているあなたへ
もし今、
「うちの子、ちょっと育てにくいかも」
「他の子となんか違う気がするけど、周りは気にしてない」
そんなふうに感じている人がいたら…
その“感覚”は、大事にしてほしい。
それは、あなたがちゃんとお子さんを見ている証拠だから。
育てにくさは、診断よりもずっと前に、
家庭の中でそっと姿を見せているのかもしれません。
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