きょうだいが増えると、ケンカもトラブルもいろんな形が出てくる。
今回はちょっと深刻な“お金”にまつわるお話。
「知らない」と言い張る次男と、怒りを抑えきれない長男。
そして揺れる母の心。
きょうだい間の“気持ちのズレ”に、どう向き合えばいいのか考えさせられた出来事でした。
財布が空っぽになっていた長男
ある日、長男が「財布が空っぽやねんけど…」と話してきた。
えっ?と思って見てみると、お年玉やお手伝いで少しずつ貯めていたお金、約4,000円+小銭がごっそりなくなっていた。
長男はかなりショックを受けて、ややパニック気味。
わたしも正直、冷や汗…。
状況証拠は…ほぼ次男
長男の財布が見つかったのは、
次男がいつもおやつやおもちゃをこっそり隠している“秘密基地”。
しかも、次男の財布には普段ではありえない金額のお金が入っていた。
これはもう、限りなく黒に近いグレー。
次男に聞いても「知らない」の一点張り
「長男くんが困ってるよ」
「悲しいって言ってたよ」
「どこにいったか知ってる?」
何度聞いても返ってくるのは、
「知らん」「僕を疑ってるん?」の繰り返し。
以前もおやつをこっそり取ったり、
お金を“間違えて預かった”と言い訳しつつも認めたことがあった。
でも今回は、完全に認めようとしない。
思い出した、あの「ラッコの指輪事件」
今回の件でふと思い出したのが、保育園の年中さんのときのこと。
家族で水族館に行ったあと、洗濯したズボンのポケットから出てきたのは
…お土産コーナーの「ラッコの指輪」。
あわてて次男に聞くと、
「かわいかったから、ほしかった」とポツリ。
わたしはパニックになりながら、水族館に電話して謝罪。
手紙と代金を、書留で送った。
あのときの経験、ちゃんと伝わってたと思ってたけど、
「こっそり」することがクセになってしまっていたのかもしれない。
でも、今回は“きょうだい”相手
あのときは相手が“お店”だったけど、今回は“きょうだい”。
「せっかく貯めてたのに」
「なんで自分ばっかりこんな目にあうん?」
長男の顔には、そんな思いがにじんでいた。
親としても、すごくつらかった。
「次男やと思うけど…でも決めつけたくない」
実は長男が財布の中身がなくなっていることに気づいたのは、
次男が祖母の家にお泊まりしていたタイミングだった。
長男は、怒りと悔しさで爆発しそうな様子。
責める相手がいないことで、怒りのやり場もなくて、罵詈雑言をずっと口にしていた。
ものにあたったり、大声を出したり…。
気持ちはわかる。
でも、そこに火を注ぐようなことはしたくなかった。
「その言い方では、話が通じなくなるよ」
「次男に確認するときは、冷静にね」
そう何度も伝えながら、1時間近く、長男の気持ちに耳を傾けた。
途中、長男がポツリとこぼした。
「だから、次男のことが嫌い。僕のもの取るし、謝らないし。本当に嫌い。」
……胸が痛かった。
兄弟なのに、嫌い合っている。悲しかった。
次男が帰ってきたとき、すぐ問い詰めたくなる気持ちはあった。
でも、それをしたら次男は絶対に心を閉ざしてしまう。
だから、長男にも伝えた。
「次男が帰ってきたら、一緒に確認しよう。
怒りにまかせて決めつけるんじゃなくて、ちゃんと話を聞こう」って。
正しさだけでは届かない
「これはダメなこと」
「人のものを勝手に取るのはよくない」
それは当然のこと。
でも、ただ“正しさ”をぶつけるだけじゃ、届かないこともある。
次男は次男なりに、
「悪いことをしてしまった」という自覚があって、
認めるのが怖いのかもしれない。
療育の先生にも相談して、
どう声をかけていけばいいか、どう伝えていけばいいか、今模索しているところです。
🎈終わりに
きょうだいトラブルって、表面だけ見たら「ケンカした」「盗った盗られた」だけかもしれない。
でもその奥には、心の葛藤や、理解のズレ、そして親としての揺らぎがある。
今回は母である私もすごく苦しくて、
長男にも次男にも、申し訳ない気持ちが残ってる。
正直、あのラッコの指輪のときの対応で、
何か間違ったことをしてしまったのかなと思うこともある。
あのとき違う関わり方をしていれば、今みたいに人のものを取ってしまったり、
ごまかそうとしたりしなかったんじゃないか…って。
でも、過去のことはもう変えられない。
それに、私自身もずっと揺れている。
次男の発達の遅れを理由に、
「長男が穏便に済ませてくれたら」と、どこかで期待してしまっている。
それって、長男からしたらすごくつらい。
「なんで僕ばっかり我慢しなあかんの」って、心の奥で思ってるはず。
私も、ずるいなって思う。
そんなふうに、次男への不信感や怒りが
長男の「嫌い」という気持ちにつながってしまっていて、
悪循環になっているのもわかっている。
子どもたちの気持ちと、私自身の未熟さ。
ぐるぐるしながら、それでも向き合っていくしかないのかなと思っています。
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