人との距離感って、
意識しなくても自然に分かるものだと思っていた。
でも、長男を育てる中で
「距離を取る」という感覚が
人によってこんなにも違うことを、はじめて知った。
人懐っこさだと思っていた行動が、
環境の変化とともに、少しずつ「困りごと」になっていった話。
そして、発達の特性を知ってから、
私たち親子の関わり方がどう変わったのか。
これは、
長男のパーソナルスペースをめぐる、ひとつの記録です。
パーソナルスペースとは?人によって違う距離感
パーソナルスペースって、人によってその広さはまちまちだと思う。
初対面では両手を広げたくらいの距離。
仲良くなってきたら、片腕を広げたくらい。パーソナルスペースとは?人によって違う距離感
多くの人は、関係性に合わせて、
少しずつ距離を詰めていくものなんじゃないかなと思う。
距離が近い子ども|人懐っこさだと思っていた頃
でも、長男は最初から距離がとても近い子だった。
赤ちゃんの頃から人見知りはほとんどなく、
誰にでもニコニコ。
大人にもよくかわいがってもらっていた。
「愛想がよくて、得な性格だな」
その頃は、そんなふうに思っていた。
保育園は、空き状況や引っ越しの関係で2回転園した。
それでも、どの園でもすぐに溶け込んで、
初日から割とすんなり登園していた。
お祭りに行っても、
よその親子に気さくに話しかける。
知り合いなのかと思ったら、
まったく知らない人だった、ということもよくあった。
小さい頃は、それで特に困ることはなかった。
「人懐っこいね」で済んでいた。
コロナ禍で気づいた「距離を取るのが難しい」という特性
でも、コロナが流行り始めてから、状況が変わった。
距離を取ることが求められるようになり、
長男の“近さ”が、目に見えて注意されるようになった。
距離を取ることが難しい、ということが
はっきり表に出てきて、
注意される回数も増えていった。
本人にとっても、かなり辛かったと思う。
小学校・学童で起きた距離感のトラブル
小学校に入学してからも、それは続いた。
学童で初めて会った上級生に、
突然近づいてしまい、驚かせてしまったことがあったらしい。
先生から注意されても、
なぜダメなのかが、なかなか理解できなかったようだった。
コロナ禍は、誰にとっても苦しくて、しんどい時期だった。
その中で、悪気はないのに注意されることが続いた長男の戸惑いは、
きっと大きかったと思う。
ただ、その頃の私は、そこまで気が回っていなかった。
私は看護師で、
仕事でもコロナに振り回されていた時期だった。
職場はバタバタで、余裕もなかった。
子どもの不調はサインだったのかもしれない
入学して夏頃から、
長男がちょくちょく
「お腹が痛い」と言って、学校を休もうとすることがあった。
今思えば、
しんどさが身体症状として出ていたのだと思う。
でも当時は、そこに気づけなかった。
「また休みたいだけかな」
「こっちは忙しくて休めないのに」
そんなふうに考えて、
子どもの訴えを仮病だと決めつけて、
イライラしたり、モヤモヤしたりしていた。
あの頃は、
距離が近いことも、
空気が読めない場面があることも、
全部「性格」や「その子らしさ」で考えていた。
「まだ子どもだから」
「慣れていないだけ」
そうやって、
違和感にフタをしていた部分もあったと思う。
でも、注意される場面が増えていく中で、
「わざとじゃない」
「悪気はない」
それだけは、そばで見ていてはっきり分かっていた。
同じことを何度も注意されて、
それでもうまくいかない。
その頃から、
性格だけでは説明できない何かがあるのかもしれない、
そう思うようになった。
「性格」ではなく発達の特性だと分かったあと
その後、発達検査を受けて、
長男の行動が「性格」ではなく、
その子の特性によるものだと分かった。
距離が近いことも、
注意されてもピンと来なかったことも、
長男なりの感じ方や捉え方があったのだと、
あとから理解できた。
そこから、私自身も
発達障害について少しずつ知るようになった。
知ることで、関わり方も変わっていった。
発達障害の子への伝え方|距離感を具体的に伝える工夫
それまでは、
「離れて」
「近いよ」
そんな感覚的な言葉で伝えていた。
でも、それでは伝わりにくかった。
今は、できるだけ具体的に伝えるようにしている。
「前ならえ、くらい離れて」
「両手を広げたくらいの距離だよ」
言葉だけじゃなく、
実際に体を使って示すこともある。
どれくらい離れればいいのかを、
本人がイメージできるように。
視覚的に、分かりやすく。
長男が判断しやすい形で伝えることを、
意識するようになった。
「分かっていなかった」のではなく、
「分かり方が違っていただけ」
そう思えるようになったのは、
この特性を知ってからだった。
もし、
「どうしてこの子は分かってくれないんだろう」
「何度言っても伝わらない」
そんなふうに感じている人がいたら。
それは、
親の伝え方が悪いからでも、
子どもがわざとしているからでもないかもしれない。
ただ、
“分かり方”が違っているだけのこともある。
感覚的な言葉より、
具体的な言葉のほうが届く子がいる。
言葉だけより、
目で見て分かる形のほうが理解しやすい子もいる。
人との距離の取り方は、
教えなくても自然に分かる子もいれば、
そうでない子もいる。
パーソナルスペースはあとから身につけていける
パーソナルスペースは、
生まれつき分かっているものではなく、
あとから知っていくものなのかもしれない。
長男にとっては、
それを言葉や体で確かめながら覚えていく必要があった。
ただ、それだけのことだった。
「近すぎる」ではなく、
「どれくらい離れたらいいか」を
一緒に探していく。
その積み重ねが、
親子の間にも、
ちょうどいい距離を作ってくれる気がしている。

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